地方エリアに関しては、住宅地(マイナス0.4%)、商業地(マイナス0.1%)を相変わらず下落を続けていますが、そのマイナス幅は縮小し、エリアによっては騰勢を増しつつあります。
特に、中核4市と呼ばれる札幌・仙台・広島・福岡は、住宅地では勢いの欠く三大都市圏を凌駕し、上昇率が2.8%に達しています。商業地はもっと好調で、最も低い広島市が4.7%、札幌市が6.1%、福岡市が8.5%、仙台市では9.0%上昇しています。
交通の利便性向上と都市整備が上昇のカギ(福岡市の例)
もともと福岡市は、空の玄関口である福岡空港・新幹線の博多駅、玄界灘で韓国ともつながる博多港のすべてが隣接していることもあり、九州の基幹都市として発展してきました。さらにここ数年の交通利便性の向上や、都市整備が進んだことが公示地価上昇を後押ししています。
平成23年の九州新幹線全面開通と機を同じくしてJR博多シティがオープンし、周辺の商業施設・病院・文教施設の建築も進みました。その他には九州大六本松キャンパス跡地に加え、天神地区も「天神ビッグバン」と呼ばれる都市開発事業が進んでいます。
高速道路網では、東九州自動車道の豊前-椎田南インターチェンジ間が平成28年4月に開通、これで福岡と整備が遅れていた宮崎・大分といったエリアがつながりました。
人口増加が住宅価格を下支え
そんな利便性の高い福岡市の人口は自治他の中で第5位の約150万人、九州・山口県エリアからの人の流入が続き、その数は増え続けています。ちなみに平成27年は増加率5.1%と政令市中第一位です。15歳から29歳の若齢者人数も2割に達し(これも政令市1位)、生産人口としてだけでなく将来の子育て人口としても期待できます。
こうした中核都市だけでなく、地価上昇の波は、「便利な都会に住みたい」という最近のトレンド、コンパクトシティーを意識した各地方の基幹都市整備の流れにのり、金沢市といった地方都市にも波及しています。