一般的な住居用物件を売却する際の査定と、収益物件の査定は異なります。収益物件ならではの評価の仕方と、高く売るための方法があります。ということで、今回は収益物件の評価を上げるための賢い方法についてご案内します。

収益物件の査定額は利回りが基準になる

立地条件や築年数、設備、周辺環境などを考慮して査定されるのは一般的な不動産と変わりありませんが、収益物件に於ける査定では収益価格に対する利回りが重要なポイントになります。

収益価格の計算方法は、「年間の賃貸収入(賃料)÷還元利回り」です。

還元利回りは、周辺にある類似物件の利回りを参考にして算出します。

利回りには、単純に年間の家賃収入を物件価格で割った表面利回りと、家賃収入から返済金利や管理費、税金などの諸経費を差引いて算出する実質利回りがあります。

最近の個人投資家は良く勉強しているので、大雑把な表面利回りではなく諸経費を考慮した実質利回りを基準にして物件選びをするようになってきました。

実質利回りが高くなれば、その分だけ収益力が高い物件ということになります。つまり、類似物件より高く売れる可能性があるわけです。そのためには、何らかの方法で家賃収入から差し引かれる諸経費を削減する必要があります。

管理費の削減は“地味だが役に立つ”

家賃を値上げすれば、計算上は利回りが上がります。とはいえ、周辺の家賃相場より高くなると入居者の確保が難しくなるので現実的ではありません。しかし、管理費を削減して実質利回りを向上させることは現実的で賢い方法です。

一般的な個人大家さんは、管理会社に管理業務を委託していますよね。

そこで、管理諸経費を削減する方法は二つ。

まず一つ目は、現在契約している管理会社に掛けあって管理費の値下げ交渉をしてみることです。地域性にもよりますが、近年は大手を含めて管理会社の数が多く競争になっているので値下げに応じてくれる可能性は十分あります。

二つ目は、別の管理会社に見積もりを依頼する方法です。その際の注意点は、契約中の具体的な金額は提示しないことです。

今の金額をたたき台にして、「これより安ければ契約するよ」と言いたくなるところですが、それはマナー違反です。そういうことをすると、「あの大家は平気でよそに数字を見せてしまう危ない人」という見方をされて信用されなくなります。

管理費の比較をする時に大事なのは、総額ではなく単価です。清掃費や設備点検費など、項目ごとの単価を比較するのがポイントです。

業者によって管理項目の数や種類が違うので、現在の契約にはない項目があるとか、別の項目が加えられていることがありますからね。なので、現在の契約内容と同じ項目で見積もりしてもらうと分かりやすいでしょう。

外観や内装をリフォームすれば高く売れるかもしれませんが、売価にその費用を上乗せできるとは限りません。管理費の削減にはそれなりの労力が必要で地味な作業ではありますが、殆ど費用をかけずに実質利回りを向上させることができるのです。

 
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