住宅建設会社　株価上昇騰落率ランキング【2023年版】

上場不動産企業32社（※）について、2023年初めの大発会の終値および同年大納会の終値を比較し、上昇騰落率をランキング形式でご紹介します。世帯数の減少により国内の新築住宅の需要が減りつつあるなか、物価高や円安による資材の高騰もあって、住宅メーカーを選ぶ消費者の目は厳しくなっています。こうしたなかでも、投資家からの期待を集めた住宅メーカーをまとめました。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

画像=PIXTA

集計方法

• 2023年1月4日（大発会）の終値と2021年12月29日（大納会）の終値を比較
• 大発会・大納会に取引がなかった企業は、取引があった直近の日の終値を比較

1年で上昇騰落率30％以上は3社　1位は住友林業

1位は住友林業で、2023年の大発会時点では2,416円だった株価が、大納会時点では4,203円となり、上昇騰落率は74%でした。住友林業は山林事業をベースに、木材や建材の仕入れ・製造・加工・販売のほか、戸建住宅の建築請負などを行っています。

住友林業というと国内向けの住宅メーカーというイメージが強いですが、アメリカを中心に積極的に海外進出を図っており、売上および経常利益で海外の住宅・不動産部門が国内を上回っています。2023年12月には、アメリカの長期金利の低下に伴い、住宅ローン金利の低下による住宅事業へのプラス効果が期待され株価が上昇しました。また、ウッドチップを使ったバイオマス発電事業等の資源環境部門も将来性が期待されています。

2位はメルディアDCで、2023年の大発会時点では789円だった株価が、大納会時点で1,094円となりました。騰落率は39%です。メルディアDCは2021年10月に「シード平和」から商号を変更しており、マンションブランド「LAURO（ラウロ）」を手掛けるほか、マンション建築やホテル建築の請負、土地オーナーに対して土地有効活用のアドバイスなどを行っています。

メルディアDC株は2023年12月22日、オープンハウスグループのプレサンスコーポレーションによるTOB（株式公開買い付け）が行われると発表されました。TOBは2023年12月25日から2024年2月13日まで行われ、その後メルディアDCは上場廃止となる見込みです。TOB価格が1株1,095円だったため、大納会時点では株価がTOB価格近くまで上昇しました。

3位は大和ハウス工業で、株価は大発会の時点で3,111円、大納会時点で4,272円となりました。騰落率は37%となっています。大和ハウス工業は住宅メーカー売上第一位の大手企業で、戸建住宅や賃貸住宅のほか、商業施設や環境エネルギーなどその事業分野は多岐にわたります。また、田舎暮らしがしたい人向けの別荘の提供も行っています。

大和ハウス工業は業績好調で、売上高・営業利益ともに右肩上がりを続けています。大企業の高い安定感と信頼性、また海外事業への進出も投資家から評価されたのでしょう。
同社は2024年1月11日には海外市場向けにユーロ円建ての新株予約権付社債を発行して2,000億円を調達、うち800億円は資本効率を高めるために自社株買いに充てると発表し、年明け以降も積極的な事業展開を進めています。

2023年の調査では、上昇騰落率100％を超える企業はなく、住宅メーカーを巡る状況の厳しさが投資家の態度からも窺えます。TOBの関係で株価が上昇したメルディアDCを除くと、海外事業を展開する大手企業が上位を占めており、住宅メーカーの成長のためには海外への事業展開が欠かせないと考えられているようです。

大発会時点の終値より大納会のほうが終値が上昇した会社は32社中25社で、住宅建設会社全体の株価の平均は一年で約12％上昇しました。