不動産業界　人件費ランキング　2023

上場不動産会社127社（※）について、人件費が多い順にランキング形式でご紹介します。人件費とは、労働者に対価として支払われる給与や退職金、福利厚生費などのほか、この調査においては役員報酬を含みます。人件費は労働生産性の算出に使われるなど、企業活動を推し量る様々な指標となります。

※編集部基準

画像=写真AC

集計方法

• 2022年6月期～2023年5月期の各社の有価証券報告書より集計
• 「人件費」は、役員報酬の総額に加え、「販売費及び一般管理費」のうち公表されている人件費関連項目を足して算出
• 連結決算の会社は原則として連結会計年度における人件費の数値を採用、ただし役員報酬などの人件費が提出会社のデータしか公表されていない場合は提出会社の数値を採用
• 人件費の総計を公表している企業はその数値を掲載
• 前回調査を行った企業については前年度との差分を掲載、ただし集計方法の変更を行ったため、大きく数値が異なる場合は本年の集計方法に基づいて算出しなおした
• 単位は百万円

不動産業界人件費第1位は三井不動産

1位は三井不動産で、人件費の総額は663億2,500万円でした。三井不動産は不動産業界売上高第一位の大手デベロッパーで、 9 月 15 日には、東京都港区にて建設中の分譲マンション「三田ガーデンヒルズ」のWEST HILL棟の販売を開始するなど、活発に事業を展開しています。

第従業員数はグループ全体で2万4,706人と、こちらも業界第一位となっており、人件費関連支出の多さも会社規模を素直に表した結果となりました。人件費の内訳としては、「給与・手当」が643億800万円で、人件費全体の97％を占めます。前年度に比べて107％の増加と、近年の給与アップの社会的要請にこたえて人件費も増加傾向にあります。

2位は野村不動産ホールディングスで、人件費総額は556億6,400万円です。野村不動産HDは「PROUD」ブランドを中心とする住宅事業や、中小規模高機能オフィスの「PMO」などのオフィス事業を手掛けます。近年は、労働力不足の補填や人件費抑制を狙って、オフィスビル 1 棟全体で掃除ロボットとエレベーターを連携させ、自律自動の清掃を行う実験を行うなど、ITにも力を入れています。

人件費の内訳としては、「従業員給料手当」が413億7,900万円と最も高額ですが、次いで「賞与引当金繰入額」が96億9,000万円と多いのが特徴です。

3位は住友不動産で、人件費は360億1,900万円でした。住友不動産は400年の歴史を持つ住友グループの中核企業であり、オフィスビル賃貸事業や住宅事業を中心に、賃貸マンションやホテル事業などを幅広く手掛けています。最近では、東京メトロ千代田線・綾瀬駅から徒歩1分の大規模駅前タワーレジデンス「シティタワー綾瀬」第一期の販売登録受付を9月23日より開始しました。

住友不動産は本社で抱えている従業員数が5,757人と大手デベロッパーの中でも多いことが特徴で、人件費の内訳においても全体の91％にあたる328億8,500万円を「従業員給料及び手当」に当てています。

ランキング上位企業を見てみると、5位の東急不動産ホールディングスのみが人件費が減少していますが、そのほかの企業はいずれも人件費が増加傾向にあり、労働力不足による人材確保の必要性や、物価上昇への対応という時代の要請に従って人件費を増加させていることがわかります。