不動産業界税負担の少ない企業ランキング2022

不動産業界税負担の少ない企業ランキング2022

上場不動産企業102社（※）について、2022年1月期までの純利益における税負担率が少ない企業をランキングしました。あわせて三井不動産他大手デベロッパー6社の税負担率もご紹介します。コロナ禍で各社が影響を受ける中、業界全体の税負担率にも大きな変化がありました。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

集計方法
・2022年1月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載
・税負担率は、損益計算書の「法人税等合計」÷「税金等調整前当期純利益」で算出
・「当期純利益が当期純損失となり、マイナスになっている会社」および「法人税等合計額がマイナスになっている会社」は調査対象外とした

画像＝写真AC

税負担率10％未満の上場不動産会社は2社　1位はコスモスイニシア

1位はコスモスイニシアで、税負担率は6.5％でした。コスモスイニシアは新築マンションや一戸建、リノベーション物件などを取り扱っています。自社が手掛けた不動産の総合情報サイト「INITIA(イニシア)」では、消費者が自分に合った住まいを探すことができます。

コスモスイニシアはコロナ禍による売上や純利益の減少に加えて、2021年3月期は法人税等の還付を受けたり、法人税等の調整が入ったりすることで税負担が減少しました。今年度の法人税1億3,800万円は昨年度の10分の1以下となっています。同社は当初、業績予想について厳しい見方を示していましたが、結果として予想を上回る増収・増益となり、厳しい中にも希望の見える経営状態のようです。

2位はアルデプロで、税負担率は6.6％です。同様の調査で1位だった昨年の1.3%よりは上昇しましたが、引き続き低い税負担率を維持しています。アルデプロは中古マンションの再活事業を中心にしていましたが、権利関係が複雑な物件の利害関係人の同意調整をして再開発する「再開発アジャストメント事業」にも取り組んでいます。

アルデプロは2020年・2021年と続けて増益していますが、それ以前には赤字経営が続いており、繰越欠損金による税負担の軽減が今期にも影響しているようです。再開発アジャストメント事業は、今後ますます需要が高まると予想される分野なだけに、同社の更なる活躍が期待されます。

参考サイト
「不動産業界税負担の少ない企業ランキング2021」

税負担率10％未満の上場不動産会社は上記2社のみでした。税負担率20％未満の会社は　上記2社を含む9社で、以下の通りとなっています。
 

今回調査した上場不動産企業の平均的な税負担率は58.7％となり、昨年の34％より大幅に上昇しました。これは、一部の企業について、コロナ禍により売上や利益率が激しく変動し、税負担と現実の経営状態とのギャップが生じてしまったためと考えられます。

例えば、最下位のASIAN STARを見ると、税金等調整前当期純利益は100万円だったのに対し、法人税等は調整後の金額でも2,300万円となり、税負担率は2,300％となってしまいました。コロナ禍の長期化により、今後は経営状態に即した税負担となることが予想されます。

不動産業界大手デベロッパー6社の税負担率

それでは、不動産業界を語るうえで欠かせない、大手総合不動産会社6社につき、税負担率をご紹介します。

前回調査に引き続き三菱地所が1位で、税負担率26.9％となっています。昨年は26.1％だったので、コロナ禍においても負担率がほとんど変わりません。業界売上高2位の大手企業でこれだけ税負担を抑えているのは驚異的で、努力や工夫の成果と考えられます。

2位から5位までの企業が税負担率を30％台に抑えているのに対して、最下位の東急不動産ホールディングスは48.3%と、純利益の半分近くを税金に取られています。元々、メジャー6社のうちでは税負担が高い方だったのですが、昨年よりもさらに10％近く税負担が増してしまいました。コロナ禍による税負担と現実の経営状態との乖離がここにも現れており、同社にとっては税負担の軽減が喫緊の課題と言えるでしょう。