不動産業界 広告宣伝費ランキング2022

上場している不動産会社65社(※)につき、2021年11月期までの広告宣伝費・販売促進費を合計し、合計額が高い順にランキング形式でご紹介します。また、売上における広告宣伝費の割合が高い会社トップ10も調査しました。コロナ禍の長期化により、各社の広告宣伝費にも変化がみられ、ここ数年トップだった会社が入れ替わる結果となりました。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

集計方法

  • 2020年12月期から2021年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
  • 「広告宣伝費」「販売促進費」のいずれかを公表している企業をランキング化
  • 「広告宣伝費」と「販売促進費」の両方が記載されている場合は合算した数値を集計
  • 連結発表の企業は、連結した金額で発表

画像=Pixabay

1位は三井不動産 前年1位の野村不動産HDは2位

順番 会社名 2021年11月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
広告宣伝費
前年比較(%)
売上高
(百万円)
広告宣伝費率
(%)
1 三井不動産 18068 20153 90% 2,007,554 0.90%
2 野村不動産ホールディングス 15460 21026 74% 580,660 2.66%
3 住友不動産 9236 18514 50% 917,472 1.01%
4 三菱地所 8753 10141 86% 1,207,594 0.72%
5 タカラレーベン 6482 6957 93% 148,397 4.37%

 

1位は業界売上高No.1の三井不動産で、広告宣伝費は180億6,800万円でした。昨年より20億円ほど広告宣伝費を減少させましたが、他の大手デベロッパーが軒並み広告宣伝費を大きく削減したため、押し出される形での1位となりました。コロナ禍で先の読めない状況においても、180億円もの広告宣伝費を支出できる安定感に、「日本に三井不動産あり」という頼もしさを感じさせます。

同社は、事業継続計画(BCP)の策定・運用・改善を支援するコンサルティングサービス「&Resilience」の提供を3月10日から開始しました。BCPとは、災害や戦争といった危機的状況においても、企業が主要な業務を継続するための生き残り戦略を記述した計画書のことで、今の時代にピッタリのサービスと言えます。

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2位は野村不動産ホールディングスで、広告宣伝費は154億6,000万円でした。昨年の広告宣伝費が210億2,600万円でしたので、50億円以上も広告費用を削減したことになります。売上における広告宣伝費割合も、昨年は3.11%だったのが2.66%と低下し、コロナ禍により広告宣伝費用を顕著に削減しました。

前年期より売上高・経常利益とも減る厳しい状況ではありますが、2022年4月1日にはグループ直営ホテル「NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO(ノーガ ホテル 清水 京都)」を 開業予定です。芸術や食事、音楽といった多種多様な分野のクリエイティブ体験ができることが特色で、コロナ禍のホテル事業に積極的に挑んでいます。

3位は住友不動産で、広告宣伝費は92億3,600万円と、なんと前年比にして50%も広告宣伝費を削減しました。売上における広告宣伝費率も1.01%と、去年の1.83%より大幅に減らしました。同社は前年の調査でも前年比87%と大きく広告宣伝費を削っていましたが、今年はより思い切った引き締めを行っています。

住友不動産は2022年社長年頭挨拶にて、今年度業績に関して、先行き不透明な中にもかかわらずオフィスビルや住宅関連部門が好調で、経常最高益達成がはっきりと見えてきたとしています。広告宣伝費削減のような支出を減らす努力もプラスに働いたと考えられます。

5位のタカラレーベンまでが広告費を減らし、業界全体の広告費は前年よりも16%減少しました。コロナ禍の影響により、不動産会社各社が広告宣伝費を積極的に削減していることがよくわかります。

順番 会社名 2021年11月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
広告宣伝費
前年比較(%)
売上高
(百万円)
広告宣伝費率
(%)
6 穴吹興産 3945 3575 110% 104,750 3.77%
7 オープンハウスグループ 3431 2308 149% 810,540 0.42%
8 東京建物 3010 3850 78% 334,980 0.90%
9 スターツコーポレーション 2594 3606 72% 198,963 1.30%
10 GA technologies 2587 1632 159% 85,388 3.03%
11 日本エスコン 2524 2218 114% 77,308 3.26%
12 フージャースホールディングス 2495 2546 98% 80,222 3.11%
13 リログループ 2460 2222 111% 333,603 0.74%
14 コスモスイニシア 1968 1773 111% 107,257 1.83%
15 フジ住宅 1727 1574 110% 121,541 1.42%
16 And Doホールディングス 1531 1692 90% 39,037 3.92%
17 FJネクストホールディングス 1469 1401 105% 72,988 2.01%
18 シノケングループ 1448 1449 100% 95,213 1.52%
19 明和地所 1157 1314 88% 50,109 2.31%
20 ケイアイスター不動産 1145 823 139% 155,753 0.74%
21 ハウスコム 1122 1395 80% 12,299 9.12%
22 大英産業 1078 967 111% 31,726 3.40%
23 ゴールドクレスト 984 1701 58% 28,890 3.41%
24 和田興産 942 900 105% 39,806 2.37%
25 セントラル総合開発 898 679 132% 26,029 3.45%
26 カチタス 766 753 102% 97,735 0.78%
27 AVANTIA 721 660 109% 45,327 1.59%
28 ウッドフレンズ 647 573 113% 37,474 1.73%
29 コーセーアールイー 647 621 104% 9,375 6.90%
30 エストラスト 571 585 98% 16,669 3.43%
31 エスリード 540 817 66% 68,999 0.78%
32 プロパティエージェント 485
33 アンビション DX ホールディングス 461 446 103% 30,529 1.51%
34 日住サービス 433 443 98% 5,590 7.75%
35 グッドコムアセット 355 153 232% 34,216 1.04%
36 エリアリンク 338 426 79% 22,477 1.50%
37 日神グループホールディングス 319 479 67% 80,815 0.39%
38 レーサム 318 334 95% 32,219 0.99%
39 プレサンスコーポレーション 311 619 50% 99,752 0.31%
40 サムティ 295 387 76% 90,460 0.33%
41 ミライノベート 264 262 101% 10,510 2.51%
42 グローバル・リンク・マネジメント 246 402 61% 26,840 0.92%
43 毎日コムネット 240 292 82% 17,012 1.41%
44 AMGホールディングス 224 227 99% 13,108 1.71%
45 アズマハウス 207 234 88% 14,286 1.45%
46 トーセイ 193 242 80% 61,726 0.31%
47 サンウッド 187 165 113% 14,419 1.30%
48 アグレ都市デザイン 184 281 65% 20,485 0.90%
49 東武住販 170 203 84% 7,754 2.19%
50 THEグローバル社 126 341 37% 18,355 0.69%
51 LAホールディングス 115
52 三重交通グループホールディングス 88 104 85% 81,179 0.11%
53 プロパスト 83 675 12% 18,886 0.44%
54 アスコット 64 13 492% 24,932 0.26%
55 リベレステ 62 51 122% 5,970 1.04%
56 フェイスネットワーク 55 120 46% 18,774 0.29%
57 デュアルタップ 49 41 120% 6,147 0.80%
58 グッドライフカンパニー 39 14 279% 4,723 0.83%
59 新日本建物 35 43 81% 15,794 0.22%
60 ヨシコン 34 96 35% 21,081 0.16%
61 明豊エンタープライズ 32 36 89% 10,181 0.31%
62 グランディーズ 23 23 100% 1,769 1.30%
63 エリアクエスト 23 25 92% 2,142 1.07%
64 アーバネットコーポレーション 21 16 131% 20,955 0.10%
65 ASIAN STAR 20 25 80% 1,951 1.03%

売上における広告宣伝費の割合が高い10社

売上高のうち広告宣伝費比率が高い企業トップ10社はこのようになっています。 

順番 会社名 2021年11月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
広告宣伝費
前年比較(%)
売上高
(百万円)
広告宣伝費率
(%)
1 ハウスコム 1122 1395 80% 12,299 9.12%
2 日住サービス 433 443 98% 5,590 7.75%
3 コーセーアールイー 647 621 104% 9,375 6.90%
4 タカラレーベン 6482 6957 93% 148,397 4.37%
5 And Doホールディングス 1531 1692 90% 39,037 3.92%
6 穴吹興産 3945 3575 110% 104,750 3.77%
7 セントラル総合開発 898 679 132% 26,029 3.45%
8 エストラスト 571 585 98% 16,669 3.43%
9 ゴールドクレスト 984 1701 58% 28,890 3.41%
10 大英産業 1078 967 111% 31,726 3.40%

 

昨年に引き続きハウスコムが1位で、広告宣伝費は9.12%と、昨年の10.72%よりは減ったものの、引き続き高い広告宣伝費率となっています。前年よりは広告宣伝費を2割カットする結果となりました。ハウスコムは大東建託グループ傘下の東証一部上場企業で、全国185店舗で賃貸仲介を行っています。

広告宣伝費率が高い10社を眺めても、6社が広告宣伝費を前年より減らしており、広告宣伝費の削減傾向はここにも現れています。ちなみに、前年よりも広告宣伝費を増やした企業第1位はアスコットで、昨年の1,300万円から6,400万円と、492%アップとなりました。

 
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