不動産業を行っている105社(※)を対象に売上当たりの経常利益比率(経常利益率)をランキング化しました。全体的に好調な不動産業界ですが、特に利益率が高い会社はどこなのでしょうか?(リビンマガジンBiz編集部)

※注1(編集部基準)
最終更新:2017年11月20日

(画像=写真AC)


■オフィス事業の好調によって利益増


ランキング上位企業のほとんどに共通しているのが、オフィス賃貸事業が好調なことです。ビル賃貸事業はストック型収益構造のため、安定的に高い利益を確保できる傾向にあります。加えて、オフィス賃貸では「賃料増額改定」によって増益がありました。

賃料増額改定が可能だった背景には、東京や大阪といった都市部にあるオフィスの低い空室率があります。2017年10月にオフィス仲介の三鬼商事が発表した「2017年9月の都心5区のオフィス空室率」は、3.17%と低水準です。2015年ごろから低下していった空室率が、賃料増額改定に結び付いたようです。

7位の大阪を中心としたビル賃貸のダイビルは、東京に所有する賃料増額改定により連続最高益を更新しています。10位の平和不動産や、14位の住友不動産も既存ビルの賃料増額によって利益を上乗せしています。

ニッセイアセットマネジメントが2017年1月に発表したJ-REITレポート「東京都心5区オフィスビル賃料改定状況」によると、2016年の都心5区のビルオーナー176社(母数の約36%)が増額改定しています。

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■オフィス事業の好調は長くは続かない?


しかし、こういったオフィス事業の好調は長くは続かないという懸念の声もあります。それは、新規オフィス供給が相次いでいるためです。2020年の東京オリンピックに向けて、都市部では大型開発が進み、今後竣工する見通しです。供給が多くなれば、当然需要が低下するという予想です。

日本不動産研究所が2017年10月に発表した「東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測(2017~2020 年、2025 年)・2017 秋」でも、今後東京・大阪・名古屋のオフィスは一旦低調になるという見解です。
同発表によると、消費税増税や大量供給が続くなかで、2019年には東京のオフィス事業が悪化し、空室率は5%強、賃料は2.5%前後悪化するという予想です。また、2020年も同様で、空室率は6%に上昇、賃料は4%前後下落するとしています。

■インバウンド需要増でホテル事業も好調


訪日外国人旅行者増加によるインバウンド需要の増加によって、ホテル事業も好調でした。6位のユニゾホールディングスは、新規ホテルを6件開業しました。日本人宿泊者の減少により稼働率はやや低下したようですが、まだまだ高いインバウンド需要に後押しされています。

9位のサンフロンティア不動産も、メインの不動産再生事業の増益とともに、ホテル運営に関しても伸長しています。

訪日外国人旅行者は2016年で2,404万人、今後も増加していくと予想されています。また、訪日外国人旅行消費額も増加しており、2016年は3兆7,476億円で、出資費目の第2位が宿泊費ですから、今後もホテル業界は堅調に推移するものと考えられます。

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