親族が亡くなって遺産相続をする時、通常の代襲相続に加えて、数次相続という遺産分割があることをご存じでしょうか。今回は数次相続について、ご案内します。

 

■数次相続とは

相続には、一般的に行われる代襲相続とは別に、数次相続という相続方法があります。一体どのような相続なのでしょうか。

 

数次相続

 相続の権利がある人が遺産差分割の協議前に死亡した時、その相続人の法定相続人が、その地位を引き継ぎます。これが数次相続です。代襲相続の場合と共に具体例をあげてみましょう。

【代襲相続】

父A、母B子C、子D、という家族がいます。父Aが亡くなると、母B、子C、子Dが、遺産相続人となります。

【数次相続】

 父A、母B、子C、子D、Dの子である孫E、という家族がいます。子Dが死亡し、その2年後に父Aが亡くなりました。父Aに遺産がある場合、子Dに変わって孫Eがその地位を引き継ぎます。よって、母B、子C、孫Eが、遺産相続人となります。今回のケースでは、父Aが死亡して子Dへ(一次)、子Dが死亡しているので孫Eへ(二次)と、2回相続が重なっているので、数次相続という名前がついています。

 

代襲相続と数次相続の違い

 代襲相続と数次相続は、亡くなった順番によって、どちらが適用になるかが決まります。

 相続人が亡くなったのが、被相続人の亡くなった日よりも前の場合、代襲相続となり、子が相続人となります。一方、被相続人の亡くなった日よりも後の場合、数次相続となり、子だけでなく相続人の配偶者も相続人となります。

 

■不動産における数次相続

では、遺産の中に不動産がある場合、数次相続はどのように行われるのでしょうか。また、その場合の登記方法はどうなるのでしょうか。

 

不動産の数次相続

 不動産を数次相続する時、一次相続と二次相続の度に、相続登記を行う必要があります。例で確認してみましょう。

不動産を所有する父A、その子Bと子C、Cの配偶者である妻Dと孫Eという家族がいます。父Aは数年前に死亡し、子Bと子Cが父Aの所有する不動産を均等に相続する予定でした。しかし、遺産分割協議をする前に子Cが亡くなりました。この場合、生前父Aの財産を子Bと子Cが分割したとみなし、子Cの相続分を妻Dと孫Eが相続する数次相続をして、子Bが2分の1、妻Dと孫Eがそれぞれ4分の1ずつを相続します。つまりこのケースでは、まず子Bと子Cへの相続登記を行い、その後、妻Dと孫Eへの相続登記を行う必要があります。

 

中間登記の省略ができる

 上記のような登記は、最終相続人に大きな負担がかかります。そのため、中間相続は単独相続の場合に限って、最終相続人への直接登記ができるようになりました。こちらも例をあげて確認してみましょう。

 不動産を所有する父A、子B、Bの子である孫Cという家族がいたとします。子Bが死亡し、その2年後に父Aが死亡しました。父Aの不動産を孫Cが相続する場合、すべてが単独相続のため、孫Cは父A名義から直接相続登記を行うことが可能です。 

 
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