不動産を売却するとき、仲介する業者が「希望額で買い取りますよ」と提案することがあります。1日でも早く売却したい場合、その言葉につい頷いてしまいそうですよね。しかし、すべてを信じて売却してしまってもよいのでしょうか。売買時に損をしないために、中間省略登記について確認しておきましょう。

 

■中間省略登記とは

不動産の売買をする際、売却する人から仲介人へ、そして仲介人から購入する人へという流れから、仲介人に移転登記を行う場合があります。しかし、中間省略登記は、その一時的な移転登記を省略できるというものです。詳しく確認してみましょう。

 

中間省略登記とは

中間省略登記は、AからBに売却する際、間にC不動産という会社が入ったとします。本来であれば、

AC不動産に売却

C不動産がBに売却

という二段階が必要となり、移転登記も二度行う必要がありました。AからBに権利が移るという取引において、不動産登録免許税や不動産取得税が取引ごとに必要になる、というわけです。しかし、この中間省略登記を使うと、C不動産の登記を省略して、AからBの一度の移転登記のみを行うだけで済むのです。

 

中間省略登記の問題点

一見問題がなさそうに見える中間省略登記。しかし、実は悪意のある不動産会社による不透明な取引に使われているとして、平成17年に一度は違法となりました(平成19年に、新しい中間省略登記が認められています:後述)。一体何が問題だったのでしょうか。

例えば、AC不動産に、5000万円で自宅を売りたいと依頼したとします。C不動産は故意に売却を遅らせ、Aに「希望の金額ではなかなか売れない。4500万なら私(C不動産)が買い取りますよ」と告げます。Aは長期間売れないのだからと、4500万円で売却を決意します。同時にC不動産は、不動産購入希望者であるBに声をかけます。「実はこの物件、5000万円で売却希望なのですが、4800万円で売却しますよ」そして、移転登記当日、ACをそれぞれ別の部屋に呼び、Aには4500万円を支払い、Bからは4800万円を受け取る、という取引をします。登記簿上はAからBへの直接取引となり、C不動産は互いに金額を知られることなく、ノーリスクで300万円を入手できる、という不透明な取引が行われるのです。

 

■新・中間省略登記

かつての中間省略登記の不透明さから、不動産登記法の改正が行われ、現在では新・中間省略登記という方法が採用されるようになりました。直接移転売買、もしくは二回売買方式と言われるこの方法に、何か問題はないのでしょうか。

 

新・中間省略登記とは

以前行われていた中間省略登記は、その不透明さから、平成17年に不動産登記法で禁止されました。しかし、平成19年に再び宅建業法施行規則の改正により、第三者のためにする契約としてのみ、中間省略登記が認められるようになりました。以前の中間省略登記と区別するために、この取引は新・中間省略登記と呼ばれています。

損をしない不動産売買をするために。

新・中間省略登記は、投資用不動産業者などで、多く利用されています。不動産の投資セミナーや融資相談で集めた買い手に、第三者のためにする契約であると説明して新・中間省略登記を利用し、不透明な契約を結ばせるケースもあるようです。合法であるとは言われているものの、まだその公平性に疑問が残る新・中間省略登記。自分が納得する不動産取引ができるよう、よく考えて契約しましょう。

 
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