マンションを購入すると、管理組合に修繕積立基金を支払います。また毎月、管理費に加えて修繕積立金を支払う必要もあります。では、マンションの売却をしたいとき、そういった費用は戻ってくるのでしょうか?

 

■修繕工事はしていないけれど…

まだ建って間もない場合や、大規模なリフォーム後のマンションであれば、住んでいた期間に大規模な修繕工事が行われていないこともあります。売却にあたり、未使用の修繕積立金は清算できるのでしょうか。

 

修繕積立金ってどんなお金?

そもそも、修繕積立金とはどういうお金なのでしょうか。マンションは共用施設や各種設備を常に最適な状態に保つ必要があるため、一定期間ごと、または必要に応じて、修繕を行います。修繕積立金はそういった修繕工事の原資となるのです。また、大きな工事のための調査費用や、敷地・共用部分の管理など、入居者全員にとって利益となる費用として利用されています。

 

修繕積立金は戻って来る?

結論から言えば、修繕積立金は戻ってきません。マンションを売買する人の中には、管理費はともかく、まだ使われていない修繕積立金は戻ってくるものだと思っている方もいるようですが、積立金の個別清算は一般的には行われていません。そもそも、マンションの修繕積立金は、マンション管理の安定的な維持や運営のための、不可欠な重要財産です。それをマンション売却のたびに個別清算していたのでは、安定した組合運営を望めません。売却時の価格には、それまで支払った修繕積立金も含まれている、と考えましょう。

 

■修繕積立金の滞納

 売却時に修繕積立金が戻ってこないのは理解したけれど、逆に滞納していたら、どうなるのでしょうか。また、他に修繕積立金を滞納している世帯が多くいたり、修繕積立金の管理状態が悪かったりする場合、マンションの売却費用はどうなるのでしょうか。

 

修繕積立金の請求期限は5年

納められた修繕積立金は、管理組合の債権となります。2004年4月には、長期滞納していた管理費などの返金を巡る裁判で、最高裁判所は「管理費などの債権は区分所有者に対して発生するもので、その請求期間は5年間とする」という判決が出ています。つまり、管理組合は滞納した管理費や修繕積立金を5年以内に回収しないと、消滅時効により回収不能になるということです。逆に言えば、自身が支払っていない修繕積立金は、過去5年分までは請求される可能性があるということです。

修繕積立金未払い物件の売却

修繕積立金や管理費を滞納していた場合、売却時は買い主側に支払いの権利が移動します。しかし、いったん買主が支払った後、元の所有者に請求されることもあるようです。前出の通り、支払い済みの修繕積立金は売却主に戻ることはありませんので、滞納分は売却主の負債となり、売却時にはその金額も考慮した価格になる場合もあります。

また、売却する際のマンション価格に、修繕積立金残高が考慮されることも。所有しているマンションの修繕積立金の運用が適正なのか、滞納している世帯がないのか、日ごろからきちんと確認しておきましょう。 

 
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