前回は、「収益不動産をいかにして高く売却するか、その1」というテーマでお話ししました。今回も引き続き「収益不動産をいかにして高く売却するか、その2」と題してお伝えします。

収益不動産の売り方 2つ




では収益不動産を売却すると決断したとき、どのようにしたら高値で売却できるのでしょうか。

売却の形は2つの方法があります。一つはアパートをアパート付として売却する方法、もしくは建物を壊して更地にして売る方法です。

前者は、いわゆるオーナーチェンジ物件として不動産市場に出回ります。

後者は、土地の大きさによりますが、新たにアパート用地を探している方だけでなく、建売業者、ハウスメーカー、さらには一般的なエンドユーザーも売却先の対象となります。

では、これら2つの方法を選択する仕方はどのように考えるべきなのでしょうか。

まず、不動産価格は2つの方法で決まります。まず一つは物件の収益性(利回り)で決まる方法、もう一つは資産価値(土地の値段)で決まる方法で、そのいずれか高い方が売却価格の目安となります。

そして、物件の売り方ですが、所有している物件がどちらの基準により価格決定がなされているかにより、売り方が異なるのです。

収益性(利回り)で決まっている物件は、アパート付のまま売るほうが高く売却できます。資産価値(土地値)によって価格が決まっている物件は、建物を解体し、できるだけ更地に近い状態で売却することで高値が付くことがあります。一見すると解体にかかる費用もばかになりませんが、早期の売却を考えているならば、費用をかけても売りやすくすることも必要です。

このように売却しようと決断した場合、所有物件の価格がどちらの基準で決まっているのかをまず理解しなければ、最適な売り方もわからないということです。

   

逆に土地値に価値がある資産価値の物件は、早期の取り壊しのために新規の入居者を入れない、既存の入居者にもなるべく穏便に出ていってもらう工夫が必要となります。


 

収益物件の利回りの上げ方

引き続き収益物件として次のオーナーにも持ち続けてもらう方がよい収益性の物件では、高い利回りが確保できた方が、売却しやすいので、できるだけ毎月の賃料を高く、かつ空室率を下げる必要があります。

では実際に賃料を上げるためにはどうしたらよいのでしょうか。一つの方法としては、お金をかけて物件をリノベーションしていく方法があります。

では、金額を考えながら収益アップのためのリノベーションの具体例を見ていきましょう。

例えば、修繕費として考えていた50万円で行うメインテナンス工事を、100万円かけて設備のアップを行ったとします。それにより賃料が1万円上がると仮定します。


もしこの物件が利回り8%で売却できるとすると
1万円×12カ月÷8150万円

と計算され、理屈上は何もしなかった時と比べ、150万円高く売却できるとなります。その時かけた+αのコストは、修繕費+50万円ですから、差し引き100万円のプラスとなります。

これは収益物件を少しでも高く売るための基本的な方法であり、新規投資するべきかどうかの判断基準となります。

土地値に価値のある物件の対処法

逆に土地値に価値がある資産価値の物件は、早期の取り壊しのために新規の入居者を入れない、既存の入居者にもなるべく穏便に出ていってもらう工夫が必要となります。

売却後の手残りの金額は、更地価格から更地にするためにかかるコストを引きます。例えば、入居者の退去費用や建物の解体費用がその主な費用です。

大家さんはすでにご承知のことと思いますが、日本の借地借家法においては入居者の立場がとても強いので、そのための退去費用は数100万~1000万円単位などかかる場合があります。

全くコストをかけず入居者に退去してもらう方法の一つは、賃借人との契約を定期借家契約にすることです。将来売却することを考えている場合、新たに入居者と契約する際に、定期借家契約とすることによって、時期が来れば、自動的に退去してもらうことが可能となります。

以上、見てきたように、大切なことは、まず土地の値段の決まり方が収益性か資産価値かを見極めることから始まります。

そのことを頭に置くことから、売却のシナリオが描けるのです。

 
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