前回は、「不動産売却に必要な書類~検査済証~」をご紹介しました。今回は、「不動産売買時の不安、構造の不具合にどう対処していくか ~瑕疵担保をわかりやすく~」という内容でお話していきます。

 

住宅を売買する時に、一番懸念される点は、雨漏りやひび割れなどの建物の欠陥でしょう。運悪くこの当事者となってしまった場合、「ああ、外れくじを引いてしまった」と後悔の念にさいなまれてしまうかもしれません。

 

この場合、思い出していただきたいのが住宅の「瑕疵(かし)担保責任です。瑕疵とは住宅購入によく出てくる用語で、「瑕」という字も「疵」という字も「きず」を意味します。新築と中古で、その取扱いが異なりますので、別々に見ていきましょう。

 

新築物件の場合の瑕疵担保

まず、新築のケースです。

戸建て、マンションとも、新築で10年以内に柱や屋根といった重要な部分に欠陥がみつかれば、売り主側は、無償で修理しなければならないことが法律で義務づけられています。

売り主側業者は、「住宅瑕疵担保保険」に加入するか、保証金を法務局に供託することで、万が一、売り主が倒産しても、カバーできる仕組みになっています。

住宅瑕疵担保保険を引き受けるのは国土交通省が指定する「住宅瑕疵担保責任保険法人」という専門法人で、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第17条の規定に基づき、国土交通大臣に指定された法人で、現在5つあります。

従って、売り主が倒産した場合でも、住宅の購入者は保険法人や法務局に請求すればお金を受け取れる仕組みになっています。

 

 

中古物件の場合の瑕疵担保


一方、中古住宅の場合はどうでしょうか。まず知っておきたいのは中古物件の保証は新築に比べまだまだ不十分ということです。

その理由は、多くの場合、売り主、買い主とも個人で、不動産仲介会社を通じて取引をするのが中心となりますが、個人の売り主は専門知識がない場合がほとんどだからです。

仲介会社の実務上の対応は、売買契約書のひな型で保証に関する項目を用意し、具体的な保証期間などを買い側、売り側の契約で決めるのが通常です。

その場合、構造上主要な部分の欠陥や雨漏りなどについて、保証期間は3カ月とする例が大多数です。

それでも不安を感じる方も多いと思います。その場合、中古でもリフォーム業者や仲介業者などが任意で加入する瑕疵担保保険があるので、保険付き物件を探すのもよいかもしれません。

新築同様、屋根、柱など構造上主要な部分と雨漏りを防ぐ部分が主な対象ですが、追加で給排水管を含む場合もあります。水回りは住宅設備の中で一番痛みの激しいところですので、追加加入のメリットは大きいかもしれません。

保証期間は一般的に1~5年程度で、保険金は500万円や1000万円という例があります。この場合、保険金が購入代金に上乗せされるケースが多いようです。

中古住宅の保証期間は、新築住宅に比べて期間が短くなっていますので、保証期間終了後のことも考え、修繕積立金の準備や日頃の手入れなどで、不測の事態を避けることが必要になってきます。

 

2015年の我が国の空き家が820万戸もあることが、国土交通省の5年ごとの調査で発表されました。

少子高齢化の進展により、その数は明らかに増加の一途をたどるでしょう。

このような状況下、国の政策として、新築住宅偏重のマーケットから中古住宅へ舵を切り始めました。

そのためにも、安心して中古住宅を購入できる環境整備とその強化が今まで以上に求められていることは、言うまでもありません。

 
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