毎週水曜日配信、「カジコンの不動産業界地獄耳」。
業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、不動産業界で見た・聞いた話を紹介します。

不動産業界では、ライバル会社同士でよく飲み会をしているって知っていましたか?飲み会は楽しいものですが、中にはトラブルに発展するものもあるようです(リビンマガジンBiz編集部)。

(画像=写真AC)

不動産のお仕事は「情報が命」です。
そのため、「あの物件がいくらで取引されたのか」「あの会社にはどんなお客がいるのか」といった情報を、不動産会社同士が交換します。また、同じ商圏内の不動産会社同士が集まっての飲み会もちょくちょく開催します。意外に仲良しなんですよ。

飲み会に参加するメンバーは、地元不動産会社の社長さんやその右腕、大手不動産会社の所長や次席といった面々が多いです。なんだか首脳会議のようで物々しい雰囲気です。でも、不動産業界で働いている人は、基本的には「営業畑」の方が多く、飲み会が始まってしまえば結構、盛り上がり。あちらこちらで笑い声が起こるような楽しい(騒々しい)会となります。

それでも、お互いライバル同志ですので、本心ではどう思っているか分かりません。

この「ライバル同志」がポイントです。
お互いが真っ当に勝負しているなら、ライバル相手でも敬意を持てます。しかし、最近なにかと話題になっている、違法な「物件囲い込み」を露骨にやっているような不動産会社が飲み会に参加した場合、その場はギスギスした雰囲気になってしまうようです。

…この「物件囲い込み」というのは、「売主様から売却依頼を受けた物件の情報を公開せず、他の不動産会社には仲介させないこと」を指し、売主にとっては機会損失に繋がるため、法律で禁止されている行為です。

今回は、この「物件囲い込み」が評判(「評判」というのもおかしな表現ですが)の大手不動産会社所長が参加した飲み会で事件は起きました。
この「囲い込み所長」は、少し遅れて飲み会に参加しました。他の不動産会社から参加しているメンバーは既にデキあがっており、「囲い込み所長」も駆けつけ3杯とばかりに、注文しようとメニュー表を手に取りました。しかし手に取ったものの、少し迷って注文をなかなか決められずにいました。こういうことってよくありますよね。すると、メニュー表を持ったまま考えていた「囲い込み所長」に、別の大手不動産会社所長がこう声をかけました。

A所長(「囲い込み所長」の名前)、メニュー表独占しないで下さいよ~。物件も囲い込むし、メニュー表も囲い込むなんて欲張りですね~」。

そのヤジで場はドッと盛り上がりました。お酒の席での多少の無礼講、少し皮肉った方が面白いものです。言われた「囲い込み所長」も、「B所長(「ヤジ所長」)は、仕事では存在感が薄いのに、飲み会では活躍されますね~」とやり返しました。

笑い声が止み、しばらくの沈黙。焼酎グラスの氷がカランと音をたてた次の瞬間、「囲い込み所長」と「ヤジ所長」の激しい言い争いが始まりました。お互い口角泡を飛ばしながらの罵り合い。最終的には取っ組み合いにまで発展しました。幸いすぐに周りの人たちが止めに入ったようですが、「お前の営業所とは絶対に取引しない!」と言い合って飲み会はお開きとなったそうです。

(画像=ぱくたそ)

とばっちりを受けたのは、両所長の部下である営業マンたち。相手の会社が預かっている物件の成約状況といった、命である情報を知る術がなくなってしまいました。しまいには、第三者の不動産会社に「あの物件、いくらで売れたか聞いて欲しいんだけど…」と頼む始末に…。

ここで読者の皆様に、ワンポイント・アドバイス。
不動産を売却する時は、温厚な人が所長を務める不動産会社に頼みましょう。

 
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