日銀は金融政策決定会合で、現在の金融緩和策を強化する為、長期・短期の金利操作を中心に新たな枠組みを導入することを決定しました。2016年1月、民間銀行が日銀に預ける資金の一部に手数料を課す「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(以下、マイナス金利政策)の導入以来、長期・短期ともに金利低下が現状維持のまま継続しています。それまでは日銀の当座預金の取引がある銀行は、顧客から預金された一定割合の現金を準備預金として当座預金口座に預けることが法的に義務付けられています。また、低金利で利息をつかせるため、その一定以上の超過準備預金を預けられていたこともあり、融資を行うよりも確実な利息を増やせる超過準備預金を日銀に預けることがこれまでの民間銀行が行ってきたことです。マイナス金利は預けられている銀行の資金に3段階の金利を設定しています。超過準備預金は従来通り0.1%の金利がつくが法律で定められた所要準備額は金利なし。

また、新たな超過準備預額においては、マイナス0.1%の金利が取られる。つまり、マイナス金利政策は今後の超過準備預金からが対象となります。

この政策を導入した本来の狙いの1つに、民間銀行が企業への貸し出しを増すことで、設備投資や賃上げを促すことでした。しかし、企業側のニーズが低迷している事や、この政策が日銀に預けている銀行のお金に対してのみ適応される政策の為、地域銀行全体として利ざや縮小を融資拡大でカバーできない状況であり、運用難に陥った投資資金は不動産市場に流れているのが現状です。その結果、今年4月から6月にかけて不動産向け貸出額はバブル期につけたピークを27年ぶりに更新しました。マイナス金利は、日銀に預けている銀行のお金に対してのみ適応される為、地域銀行全体として利ざや縮小を融資拡大でカバーできない状況であり、地域金融機関にとっては、収益が圧迫されるが故、厳しい見通しとなっています。そこで、マイナス金利政策で注目されてきているのが、住宅ローンです。住宅ローンは市中で取引される短期・長期の金利を参考に決定されています。すなわち、市中の取引の中で金利が下がるほど、住宅ローンの金利も下がる比例関係という事です。今後マイナス金利政策の金利のパーセンテージの変動や、株式市場等の取引で住宅ローンは左右されるでしょう。今後住宅ローンを組むにあたり、今がチャンスとすぐに契約するのではなく、慎重に今後の動向に注目することも必要となってくるでしょう。

 
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