不動産学部で建築分野の授業を担当している前島です。

今回は、不動産学部から建築士へのみちについて紹介します。

ストック時代の建築士


建物ストックが充実し、空き家率が増加している現在、不動産流通において建物をどう評価するかへの意識が高まっています。これまで、不動産流通時に大きなウエイトを占めていた年代や立地といった評価指標に加えて、建物の居住性、構造特性、劣化度を見極める、専門的な視点が重要になってきています。

住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用のアドバイスを行う、ホームインスペクション(住宅診断)という専門業務もありますが、建築士の専門領域である空間的・計画的視点が加わることで、既存建物を効果的に活かす提案や、適切な管理を見据えた計画を盛り込むことが期待されます。

建築士へのみちのり

建物の設計や工事監理を行うには、ごく小規模な場合を除き、建築士資格が必要になってきます。一級建築士を受験しようとする場合、専門教育をうけていない場合、11年以上の実務経験が必要とされています。これはみなさんの予想を超える長い年月ではないかと思います。

一方、大学等で専門教育を受けている場合は、その程度に応じて実務経験期間の短縮が設けられており、一般的には、建築系学科を卒業すると(学科卒業のための単位を修得すると)、実務経験2年で一級建築士試験を受験できます(表1)。このため、建築士をめざす場合、建築系の大学や専門学校が有力な選択肢になっています。

表1 一級建築士受験資格

※二級建築士を受験するまでに7年以上の実務経験が必要なので、大卒だと6年(教育4+実務2)のところ12年(実務7+受験1+実務4)と倍必要になる。

不動産学部の場合

大学卒業に必要な単位総数の条件は大学共通です。不動産学部では工学系科目以外に経済系科目、法学系科目も学ぶため、卒業に必要な単位修得だけでは建築士受験に必要な範囲をカバーできません。そこで、大学の教職課程と似たかたち、すなわち、卒業条件を満たす以外に建築系の科目を履修することで、建築系学科と同じ実務経験2年で一級建築士を受験できるようなかたちをとっています(図1)。

図1 卒業に必要な単位総数と建築士指定科目の位置づけ

製図室や材料実験室を備え建築系学科と同様の科目を設けながら(写真1、2)、不動産的要素がとりいれられています(それぞれの授業については別のコラムをご覧ください)。

写真1

写真2

建築士をめざす一部の学生は、それ以外の大半の学生に比べてかなり数多く、幅広い講義を履修することになるので、忙しいうえ頭の切り替えが大変そうではありますが、目標をもって大学生活を送っているようで頼もしくもあります。

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最後までご覧下さり、誠にありがとうございました。
もしよろしければ、不動産学部のホームページもぜひご覧下さい!
 
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